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“Imperfect Vision”
(インパーフェクト・ヴィジョン)
–侘び・ポジティブな視点–
(C)Naoki Shimomoto
2010年 10月8日(金)~ 10月31日(日)
金、土、日曜のみオープン 1:00PM~6:00PM
休廊 月~木曜日 / 入場無料
本展問合せ先:ブリッツ・インターナショナル info@artphoto-site.com
本展では90年代後半から顕在化してきた、日本の伝統的文化を意識して制作された写真作品を展示しその流れを俯瞰します。またリーマン・ショック後の社会・経済環境の変化が作家表現をどのような変化させたかを概観し、彼らの展示する未来のヴィジョンを探ります。なお、Imperfectは、岡倉天心が「茶の本」で侘びの意味で使った表現。
21世紀になり、グローバル経済が進行し新自由主義が浸透し始めたころから、自然崇拝を背景とし、成熟や成長優先ではない日本の伝統文化や美意識を見直そうという動きが見られるようになりました。一般向けのインテリアやライフスタイル系の雑誌などでも日本の建築、庭園、神社、仏閣、茶の湯の特集が目立つようになりました。仏像鑑賞のブームはいまでも続いており、東京国立博物館で開催された「国宝 阿修羅展」は記録的な入場者数だったそうです。このブームが若い世代中心に起きたのも特徴のひとつ。アートの世界でも、カワイイという美意識が愛でられるようになり、瞑想や禅思想を意識した作品が数多く登場しました。
このブームの背景には、経済成長を通しての豊かな生活の追求という価値観へのアンチテーゼがあります。しかし、逆説的ですが、アンチはあくまでも主流とセットで存在します。この場合、安定した経済成長が前提なのです。2008年のリーマン・ショックがきっかけとなり、戦後長きにわたり続いていた経済成長優先の考え方が大きな曲がり角を迎えています。いま日本文化ブームも前提が崩れ、存在基盤が揺らいできました。
経済成長が続いていた時の日本的なアート作品は瞑想感覚、癒し、諦観などが前面に出ていました。前提が崩れた後、一部のアーティストは日本の伝統的美意識の本質をとらえるようになります。たとえば「侘び」は、未完の美を愛でる考えですが、その本質はネガティブをポジティブにとらえる意識、つまり人間は死ぬから逆に現在を一生懸命に生きるような姿勢を意味します。最近は、日本文化のスタイルだけでなく、その本質であるポジティブな面を取り込んだ作品も散見されるようになってきました。それは、リアリティーを徹底的に突き詰めた結果として現れたと思われます。かつての拝金主義的な価値観はむなしいものです。しかし、一方で私たちはいま、国が膨大な財政赤字を抱え、低成長が続く中では現状の生活維持さえ困難という現実を直視しています。いま極端にリスクを冒さない生き方が蔓延していますが、それは問題からの回避でしかない、何らかの行動が必要ではないかという理解です。時代の閉塞感を誰よりも強く感じるアーティストが日本本来の美意識をヒントに現状を変えようと動き出したのです。
本展では、日本の伝統的な精神性を意識しながらポジティブな視点を提示し始めた写真家5名の作品約計40点を展示いたします。
参加写真家・プロフィール
NAOKI(ナオキ)
日本の伝統的美意識のひとつである、「カワイイ」を意識して、日本人モデルを自らがスタイリングして白バックで撮影した写真を展示。日本独自のファッション写真の可能性を感じさせる作品です。「シブヤ・カワイイ・スタイル」、新作「ワン・セカンド」からセレクション。
- 1950年 奈良生まれ。画家を目指すが、写真家に転向。
- ファッションの本場、ミラノ、ロンドンで活躍後に帰国。
- 1987年 写真家、ヘア・メイク、モデルをマネージメントするコマーシャル・レップのフェイス・トゥ・フェイスを設立。
- 1995年 写真集「ORDINAL」出版、東京、パリで写真展を開催。
- 2004年 写真集「REAL FACES」(主婦の友社出版)を刊行。
- 2009年 写真展「Shibuya Kawaii Style」ブリッツ・ギャラリー
高橋 和海(たかはし・かずうみ)
シースケープと月を対比した 「ムーン・スケイプス」シリーズからセレクション。長時間露光で撮影された海風景の瞑想感、欠けていく月の無常観を表現している。
- 1963年 神奈川県横須賀生まれ。
- 1989年 東京綜合写真専門学校卒業、1991年同校研究科卒。
- 広告写真を行う一方、90年代から個展、グループ展で作品を継続して発表する。
- 2007年 米国の有力アート写真集出版社のNazraeli Pressより"High Tide Wane Moon"を刊行。
- 2008年 米国オレゴン州ポートランドのCharles A. Hartman Fine Artで米国初個展を開催。
- 作品はJoy of Givong Something, Inc.コレクション(ニューヨーク)に収録されている。
丸山 晋一(まるやま・しんいち)
3次元空間に墨と水で禅の悟りの奥儀と言われる○(マル)を表現した「空書」シリーズを展示。一瞬で生まれて消えゆく作品の表現方法は、未完の美を追求する侘び寂びの精神に通じます。欧米のアート・シーンでコレクターに絶賛された作品群です。
- 1968年 長野生まれ、千葉大学画像工学科出身
- 1993年 フリー写真家として広告写真開始、その後、チベットのドキュメンタリー作品を制作
- 1998年 博報堂フォトクリエイティブ入社。この頃からデジタル写真の技術探究を開始する
- 2001年 写真集「SPITI」、「Into The Spiti Vallery」刊行、写真展「SPITI」(ギャラリー・ロケット・東京)
- 2003年 ニューヨークへ移住。欧米市場で広告写真を手掛ける一方で、作品制作に取り組む
- 2009年 写真展「Kusho」(ザ・ブルース・シルベスタイン・ギャラリー・NY、ブリッツ・ギャラリー)、写真集「空書-Kusho-」刊行
地現 葉子(じげん・ようこ)
「熱帯温室」では、人工環境の中で生かされている草木を現代人に置き換えて、現実は厳しく未来は決して明るくないという一種冷徹な現状認識を提示しています。「空」では抽象的に表現された鳥のイメージで、そのような厳しい状況でも、飛ばなければ何も起きない、行動を起こそうというネガティブをポジティブにとらえる姿勢が見られます。
- 1970年 広島県生まれ。東京農業大学林学科卒業
- 1999年 現代写真研究所本科修了
- 2006年 松本路子氏主催のワークショップ「写真作家コース」に参加。
- 派遣社員として様々な業界で働いている経験を投影しながら作品制作を続けている。
- 2008年 個展「光、満ちる」(コダックフォトサロン)
下元 直樹(しももと・なおき)
「取り残された記憶」シリーズから出品。東北の寂れた漁村を撮影したドキュメント作品。朽ち果て、錆びた漁村に残る建物や壁面のクローズアップの中の美を見出している。ネガティブな状況の中でポジティブな面を見出す視点は日本的な精神を感じる。
- 1980年 宮城県仙台市出身
- 2000年 札幌デザイナー学院 写真学科(現 札幌ビジュアルアーツ 写真学科)を卒業
- 2000年 フォトスタジオ21でカメラアシスタントを経験、フォトグラファーとして勤務。
- 2010年 スタジオ玄 フォトグラファーとして勤務中。
なお、本展のキュレーションはブリッツ・インターナショナルの福川芳郎が担当しています。
(C)Kazuumi Takahashi |
(C)Naoki |
(C)Shinichi Maruyama | ||||||||
(C)Yoko Jigen |
(C)Seiiti Yamasita |
(C)Kazunori Ishige | ||||||||

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